クリープハイプとかいう唯一無二の天才www憂、燦々www寝癖www
唯一無二のバンド、
愛してやまないクリープハイプについて書こうと思います。
あれは僕が大学生かそこらの頃、惰性で付き合っていた女の子と2人で九州に旅行に行っていた時の話です
僕が運転すると車が事故を起こしてはいけないと、
彼女は僕のドライビングテクを信頼していなかったのでしょうか、
はたまた僕のことを心配してくれていたのでしょうか。
ともかく、
運転は全て彼女に任せるというジェンダーレス男子ぶりを発揮しておりまして。
僕は助手席でぼうと彼女の姿を見ていたのでした。
大好きになった女の子に振られてからというものの、
この人の良いおせっかいな女の子に連れられて、
色々な所へ旅行に行ったり、
一緒に出掛けたりしました。
僕は彼女と一緒に居ることが嫌いじゃなかったのですが、
なんだか虚しいなと思って日々を過ごしていました。
九州は広いです。
高速道路も長くて、時間があります。
僕のプレイヤーに入っていた曲もなんだか聞き飽きて、
彼女に何かいい曲流してよ、と尋ねたのが始まりです。
「○(一人称)はあんまり好きじゃないんやけど、
友達のユウコがめっちゃはまってるらしくて。
シンくんも好きちゃうかもやけど、聞く?」
なんて言って教えてくれたバンドがありました。
ユウコという女の子は、その子の友達だったのですが、
学生の身ながら風俗嬢をしていて、200万円貯金をしたそうです。
働いている身分ならともかく、
当時の僕みたいな貧乏大学生にとって、
200万円というのは本当に大きい金額です。
風俗嬢ってすごいなあ、と漠然と思っていたものでした。
彼女も友達が多い方ではなく、
ユウコちゃんと偶然大学で仲良くなって、
大学では一番仲のいい間柄だったそうです。
彼女もユウコちゃんも邦ロック好きで、
2人でよくロックフェスに出かけたりしていたので、
僕もユウコちゃんのことは話に聞くだけでなく、
写真で見たりもして知っていました。
僕はなんとなくユウコちゃんに対して薄っぺらいという印象を抱いていたので、
クリープハイプについても、
そんなに良くないんじゃないかなぁ、
くらいにしか思いませんでした。
彼女がクリープハイプを流しました。
始まりはなんだか高音が心地良いな、
くらいに思って黙って聞いていました。
ですが、今でも覚えているのは夜の高速道路の車内に、
これから私たち
どうなるのかな
今どうでもいいこと
考えてたでしょ
(クリープハイプ/憂、燦々より)
なんて言葉が響いていたことです。
僕にはグサッときました。
まさに同じようなことを、今朝も言われていたからです。
彼女の顔色を伺いました。
彼女は黙って前を見ています。
尾崎さんは、まだ僕達のことを歌っていました。
君の髪が白くなっても
そばに居たいと思ってるよ
あたし髪が白くなるくらい
ずっとそばにいたいよ
気付いてないふりの君に
気付いてないふりをして
そっけない態度で
言ってしまいそうな本当の
気持ちを誤魔化す
僕の髪が白くなれば
その気持ちが変わってるかな
君の髪が乾くまでは
ここにいると思うよ
(クリープハイプ/寝癖 より)
僕は彼女と添い遂げるような気はありませんし、
正直彼女のことにそんなに関心がありません。
ですが、彼女は僕とずっと一緒に居たいというようなことを、
いつも繰り返します。
僕も惰性で応じてはいるのですが、
それはいけないことだと考えていました。
僕は歌に聞き入っていました。
少し滑舌が悪めの尾崎さんの歌声ですが、
ハリのあるハイトーンボイスなので、
集中して聞くとするすると頭の中に入って行きます。
僕は気付いたら涙を流していました。
その前の日のことを思い出しました。
今となっては理由も忘れてしまいましたが、
僕が一人でシャワーを浴びている時、
彼女がすすり泣く声が聞こえたことを思い出しました。
僕がシャワーから上がると、
何事もなかったかのように、
彼女は笑っていました。
僕は尾崎さんのことはよく知りませんが、
彼も僕と同じような、世間的にいえばどうしようもないようなクズで、
その気持ちや日常を描写するのが天才的に上手い人なんだと感じました。
それからすっかり尾崎さんのファンになってしまいました。
初めてCDを買い、
ロックフェスにわざわざ見に行ったり、
LIVEに行ったりしました。
クリープハイプは女性ファンが多いそうです。
自分の経験に投影しているのかもしれません。
過去の哀しかった経験、寂しかった経験を投影して、
そのころの気持ちを思い出して感慨深い気持ちになるのでしょうか。
世間では「sexしよう」だとか「ラブホテル」だとかの印象が強いかもしれませんが、
尾崎さんの本質的な魅力は、屑の生活感を上手く捉え表現する力なんだと思います。
哀愁を以って聞かせてくれる、本当にすごい人なんだと尊敬しています。
これからも、素晴らしい曲を生み出してくださることを祈って、
次のシングルも楽しみにしています。